研究課題
本研究プロジェクトは、(1)脳神経倫理学の学問的特質の明確化、および(2)神経科学がもつ社会的インパクトの制御可能性の検討を主要な研究課題とし、活動を行ってきた。最終年度の2010年度は、昨年度までと同様、脳神経倫理学に関する文献資料を調査し、その成果の一部を論文・口頭で発表した。またこれまでの本研究プロジェクトにおける脳神経倫理学研究を総括し、研究成果出版の準備を行うことを目的に、脳神経倫理学の近接分野の専門家を招聘し、講演会を開催した。まず2010年6月5日に、西牧謙吾氏(国立特別支援教育総合研究所)を演者に迎えて「脳科学と教育」をテーマとする講演会を開催し、教育分野への脳科学の導入や倫理規定の作成をめぐる問題点などについて議論した。続く7月17日には、「脳科学と医学」をテーマとして坂井克之氏(東京大学大学院医学系研究科認知・言語神経科学分野)に講演を依頼し、脳科学研究の現状とその問題点について討議した。さらに2011年1月29日には「脳神経政治」をテーマとして加藤淳子氏(東京大学大学院法学・政治学研究科)を演者に迎え、選挙キャンペーンに関するニューロイメージングを用いた実験や脳神経政治研究の現状をめぐって活発な意見交換を行った。また昨年度から引き続き当研究プロジェクトを紹介するウェブサイトや「脳神経倫理ポータルサイト」等を通じて、プロジェクトの研究成果を発表し、研究会やシンポジウムの情報を紹介など脳神経倫理学に関する情報を積極的に社会へ発信した。
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教育哲学研究
巻: 102号 ページ: 99-119
http://hps.c.u-tokyo.ac.jp/a_theoretical_foundation_of_neuroethics/