研究課題/領域番号 |
20320002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高山 守 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
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研究分担者 |
西村 清和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50108114)
小田部 胤久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80211142)
中島 隆博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20237267)
藤田 正勝 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90165390)
安田 文吉 南山大学, 人文学部, 教授 (80121474)
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キーワード | ヘーゲル / フッサール / 西田幾多郎 / 木村素衛 / 梅本克己 / 福沢諭吉 / 家族 / 歌舞伎 |
研究概要 |
本プロジェクトは、「ヨーロッパ部門」「中国部門」「日本部門」の三部門からなる。本年度、「ヨーロッパ部門」においては、とりわけ、哲学、芸術、国家という、これら三形態のすべてに通底する根底的な諸概念が取り上げられ、その諸概念を軸に、この三形態間に醸し出される調和と緊張の関係性が探求された。その諸概念とは、具体的には、「家族」「ケア」「環境」「自然」「国民文化」「国民芸術」等である。たとえば、映画やテレビドラマ等で繰り返し主題化される「家族」なるもののあり方は、日本においてもヨーロッパにおいても、このうえなく密接に国家と関連する。この関連性の具体相は、日本ならびにヨーロッパ諸国の家族関連政策の観点から見て取ることができるのだが、こうした関連性を精緻に見定めるためにも、「家族」とはそもそも人間にとって何であるのかが一つの焦点となり、種々の観点から討究された。その一環で、「ケア」の問題が、フッサール現象学との関連で論じられ、また、家族における価値基準に直接関わるものとして、美的な物と倫理的な物との関係性の問題が提起された。さらには、国民文化ないし国民的芸術に関する議論と哲学理論との関連が、木村素衞とカール・レーヴィットに即して論究された。「中国部門」においては、国家と道徳・哲学との関係、東アジアの近代における啓蒙の問題、ならびに、1930年代日本における諸思想(儒学、西洋哲学、マルクス主義)と国家の関係が考察された。「日本部門」においては、哲学と芸術と国家との関係が、日本の近代思想、とくにいわゆる「近代の超克」の問題との関わりにおいて考察され、また、西田幾多郎、三木清の「構想力」概念を中心とする芸術理解に関する研究が遂行された。さらには、「歌舞伎・浄瑠璃作品に見る近世幕藩体制と家族」と題し、江戸幕府下における家族意識とその演劇的表現についての詳細な検討がなされた。
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