研究概要 |
本研究は、南インドに伝承が現存するジャイミニーヤ派サーマ・ヴェーダとヴァードゥーラ派ヤジュル・ヴェーダの主要文献を、収集諸写本を中心資料として校訂し研究することを目的としている。研究代表者(藤井正人)のほか三名の連携研究者(井狩彌介、梶原三恵子、手嶋英貴)と海外共同研究者(アスコ・パルポラ)が研究に参加している。平成24年度の研究実績は以下のとおりである。 (1) 校訂と研究 ジャイミニーヤ派文献に関しては、Jaiminiya-Samaveda-Samhita (Arcika, Gana) を藤井とパルポラが共同で、Jaiminiya-Brahmana と Jaiminiya-Upanisad-Brahmana を藤井が、Jaiminiya-Srautasutra と Jaiminiya-Grhyasutra をパルポラが、それぞれ担当して校訂と研究を進めた。ヴァードゥーラ派文献に関しては、井狩が校訂しつつある Vadhula-Srautasutra を井狩、藤井、梶原、手嶋が共同で、Vadhula-Grhyasutra を梶原が、それぞれ担当して研究を進めた。最終年度である今年度は、各文献の校訂出版に向けて、成果の取りまとめを行った。 (2) 資料収集と現地調査 基本資料である写本が欠如あるいは不足している文献に関する写本調査と、それに関連する両学派の伝承地と伝承家系の調査を続行した。これまでの調査成果に基づき、両学派を軸に、南インド(特にケーララ州)のヴェーダ伝承(写本・口承・祭式)の実態と、ヴェーダ伝承と伝承者社会との関係に関する研究をまとめた。
|