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2008 年度 実績報告書

仏教論理学と後期大乗仏教への展開

研究課題

研究課題/領域番号 20320011
研究機関早稲田大学

研究代表者

岩田 孝  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80176552)

研究分担者 杉木 恒彦  早稲田大学, 高等研究所, 助教 (40422349)
キーワード無形相唯識説 / 極微批判 / 世間上の認知(pratiti) / 世間上の承認(prasiddhi)
研究概要

後期大乗仏教は顯教と密教の兼学をもって完成した。顕密両面の後期大乗仏教の研究は、諸学匠が著述した綱要書の解読を通して可能となる。しかし、その綱要書の梵文原典の多くは散逸している。幸いにも、サハジャヴァジュラ(11世紀)著『定説集成』(Sthitisamasa)のサンスクリット語写本(Nepal-German Manuscript Preservation Project,Reel No.324/4)が残されており、この書物の解読により顯密両面の教義の梗概を解明することが可能になった。本年度は、その一過程として、『定説集成』の中の無形相唯識説の部を解読した。世間では対象が実在すると見なされているが、それは、本来的には、外界にも、識自身にも存しない、という無形相唯識説の論拠を解析した。
無形相唯識説の部の英訳に際しては、オックスフォード大学のAlexis Sanderson教授を早稲田大学に招聘し、大学院のゼミの中で、写本の解読、論理的な解析を試みた。同書には顯教と密教の諸説が簡潔な形で要約されているために、同書の翻訳においては、これらの定説が先行する仏教の如何なる学説を前提とするのかを分析することが不可欠である。無形相唯識派の学説に関しては、この分析を筆者が担当した。密教の部については、Sanderson教授が担当した。同教授は写本のtranscription及びテキストのパラレルを提示し、筆者と杉木恒彦助教とが別個に写本のtranscriptionと翻訳を準備した。これらの分析作業には、後期大乗仏教の教理が前提する仏教論理学の研究が必要となる。今年度は、仏教論理学での推論的な思考、特に、世間で周知と認知すること(pratiti)が妥当な認識の根拠となることは如何にして可能かという問題に対する法称(7世紀)の見解を解明した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 他者の為の推論(pararthanumana)における世間承認(pratiti)-法称の見解とダルモーッタラの解釈-2008

    • 著者名/発表者名
      岩田 孝
    • 雑誌名

      東洋の思想と宗教 26

      ページ: 1-33

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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