研究概要 |
平成20年度では『サンユッタ・ニカーヤ』全5巻の中、第1から3巻目までの電子化テキストの校正を終わり、その後プレリミナリな語彙索引作成を終了した。国内外の共同研究者(言語学者)により、その索引チェックを遂行している。第5巻目については、パーリ文献協会(PTS,英国)から再近刊刊行予定の校正版の電子化テキストを提供してもらい、語彙索引作成のための準備作業を遂行中である。第3巻目の語彙索引作成は当初は平成21年度に遂行予定であり、第5巻目については最終年度に遂行予定であったが、上記のように当初の予定より研究が格段に進んでおり、予定年度内での総語彙索引出版ができる見通しが立った。 パーリ語で書かれた原始仏教経典は、5つの大きな部(ニカーヤ)に分類されているが、『サンユッタ・ニカーヤ』は、『ディーガ・ニカーヤ』、『マッジマ・ニカーヤ』に次ぐ第3番目のニカーヤで、漢訳仏典の『雑阿含経』にほぼ対応している.第1、第2のニカーヤの索引は、PTSとの共同研究のもとに既に作成・出版し、研究に提供している.『サンユッタ・ニカーヤ』には、仏陀が生涯中のある時期に何らかの機縁について述べた教えや問答がまとめられ、散発的ではあるが、仏陀の短い教えや問答についての豊富な内容が含まれており、極めて重要な文献である.当該テキストの第1巻には多くの韻文(詩偈)が含まれており、詩偈を構成する詩脚の索引は、仏陀の教えや問答を理解する上では極めて重要である。他の韻文テキストの詩脚索引との比較考証により、より一層仏陀の教えを理解する上で重要な役割を果たす。本年度は、当該詩脚索引を中央学術研究所より発行した。
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