平成21年度では『サンユッタ・ニカーヤ』の第4、5巻の電子化テキストの校正を終わり、各巻の語彙の順列・逆順索引を作成し、そのチェックを完了した。この結果、全5巻の電子化テキストの校正を完了して、その後プレリミナリな語彙索引作成を終了した。国内外の共同研究者(言語学者)により、全巻にわたり統一的な校正になっていることに留意して、その索引チェックを遂行している。このチェック終了後に、パーリ文献協会(PTS)と相談・交渉の上、本プロジェクト最終年度(平成22年度)での総語彙索引出版を予定している。この結果、仏陀が生涯中のある時期に何らかの機縁について述べた教え・問答や、仏陀の短い教え・問答を含む『サンユッタ・ニカーヤ』についての研究を遂行する上で、重要な第1次基礎資料を獲得できることになる。 又、当該プロジェクトと密接な関連を持つ仏教混淆梵語聖典『マハーヴァスツ』の索引についても研究を遂行した。『マハーヴァスツ』は、最も重要な仏陀の伝記の一つである。使用言語は、仏教混淆梵語のうち最も古い層に属し、古典サンスクリット語の知識のみで理解することは不可能であり、未解決の多くの言語学・文法上の問題を含んでいる。コンピュータ上にテキストを作成し、網羅的な正順語彙索引を作成することは、仏教混淆梵語の語彙研究の基礎となり、逆順の索引は文法を解明する上で不可欠となり、また仏教混淆梵語で書かれた膨大な大乗経典の語彙と文法の解明を飛躍的に発展させることになる。本年度は全3巻の語彙の順列索引と逆順索引を中央学術研究所より出版した。
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