平成22年度は、平成22年度に実施した「日本人の宗教意識・宗教行動に関する世論調査」と平成23年度に実施した「日本人の宗教団体への関与・認知・評価に関する世論調査」によって得られたデータに関する補完的資料の収集、および研究成果の公開、そして報告書の作成を行った。 5年ごとに実施している世論調査であり、「日本人の宗教意識・宗教行動に関する世論調査」は2度目で5年間の変化、「日本人の宗教団体への関与・認知・評価に関する世論調査」は3度目で10年間の変化を把握できるようになった。 日本人の宗教行動と宗教意識については、この5年間で大きな変化は見られなかった。ただし、長期間におよぶ変化としては、おおよそどの領域においても暫減の傾向が示された。他方で、宗教団体に関する調査では、認知や評価に関して変化が見られた。認知や評価に関しては、教団による社会的時間とメディアによる報道の影響が強く、短時間での変化が生じやすい。とくに興味深かったのは、「神道(神社)」に対する認知と評価が、他の系統と比較して高くなっている点である。同じ伝統宗教である仏教系の著名寺院の認知度と比較して、伊勢神宮、明治神宮などの認知度が軒並み高くなった。近年の世界遺産ブームやパワースポットブームが背景にあるものと考えられる。もう一点、明確に変化と見られるのは、新たに政党を結成して政界に進出した宗教団体への認知度が5年前と比較して高くなっている点である。
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