研究課題
小田部は、近代日本の民芸運動、とりわけ柳宗悦の理論における「ヨーロッパ-アジア」の距離の測定について7月24-26日に開かれた間文化哲学会議(ヴュルツブルク大学)で、1930年代の京都学派を代表する一人木村素衞の東西文明観について7月10日にブレーメンでの会議で、1930年代に日本に滞在したカール・レーヴィットにとっての日本滞在の意味について11月5日に中国湖北大学での講演会において発表を行った。これら3つの課題は相互に相対的に独立のものであるが、いずれも1920年代から30年代の美学理論を主題とする。この時代は東西が相互的対話の関係において出会い生産的な成果を生み出した点においてとりわけ注目に値する。今まで<ヨーロッパ的なもの>ないし<日本的なもの>とみなされてきたものが実は東西の理論的共働によって成り立っていることを明らかにするために、従来の比較美学的方法-それは東西の文化を非歴史化・実体化する傾向と無縁ではない-ではなく、間文化的方法を積極的に取り入れ、文化触変の過程をAcculturation-Interculturationの対比のうちに、すなわち一方向的な変化と双方向的な変化の対比のうちに理論化し、「間文化的美学」の構築を目指した。渡辺は、明治期以来の「唱歌」およびその系譜の音楽(卒業式の歌、校歌、都道府県歌)や戦後のうたごえ運動の考察を通じて、19世紀の西洋で合唱運動などの形で広まり、一緒に歌うことによって共同体意識を高めることに寄与した「コミュニティ・ソング」の思想が日本でどのように受容され、どのような形で日本的な展開を示したかについての考察をすすめた。また、東西統合とのドイツで広がっている、旧東ドイツ時代へのノスタルジーの動きのあり方が日本における「昭和ノスタルジー」とかなり共通した展開を示していることをつきとめ、とりわけその両者における映像の働きに着目しつつ、メディア社会における「ノスタルジー現象」への考察を進めつつある。
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http://www.1.u-tokyo.ac.jp/bigaku/staff.html#otabe