研究課題/領域番号 |
20320024
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山口 和子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (90093476)
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研究分担者 |
西村 清和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50108114)
長野 順子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20172546)
川田 都樹子 甲南大学, 文学部, 教授 (00236548)
前川 修 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (20300254)
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キーワード | ポストモダン / 遠近法的視 / 触覚 / サイ・トオンブリ / クロード・カオン / 脱視覚化 / シャーカフスキー / ゲルハルト・リヒター |
研究概要 |
山口和子:本年度の計画予定通り、写真というメディアの特徴として触覚性をどの程度いいうるかどうかを、主要に初期写真論を介して検証する共に、触覚の心理学的規定、アフォーダンス理論、現代の哲学メルロ・ボンティ、ドゥルーズ、デリダ、またドイツのべーム、ベルティングらの像理論における触覚の位置づけ等を考察し、ポストモダンとも呼ばれる現代において、触覚が、近代の遠近法的な視に変わる知のパラダイムとなりつつある基本的な傾向を考察した.川田都樹子:本年度アメリカニューヨークに一年間滞在し、アメリカにおけるポストモダンへの移行期における写真の役割を具体的な資料を解して再確認するとともに、それを踏まえ、抽象表現主義の画家とみなされているサイ・トオンブリーの写真における「脱視覚化」、「脱モダニズム」について考察した。長野順子:シュールレアリズム期のアーティストであるクロード・カオンのセルフ・ポートレートやコラージュ、および1980年代以降のシンディ・シャーマン、ナン・ゴールディンらの写真作品を再検討しながら、それらに顕著な「おぞましさ」や「吐き気」という感覚について、そうした負の美的感受性の伝統的な位置づけ、および現代アートのおけるそれらの戦略的インパクトのポストモダン的意味を考察した.前川修:アラン・セクーラ、シャーカフスキーの写真論を、ポストモダン的文脈の中で再検討すると共に、セクーラと同じ70年代に活動を始めた杉元博司の写真とその言説を整理し、ボス.トモダン的現代における写真のありようを考察した.西村清和:ドイツの画家ゲルハルト・リヒターにおける絵画と写真との関係を検討しつつ、とくにその「アトランタス」における醜の契機の写真的特性を考察した。
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