研究課題/領域番号 |
20320029
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 真理 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (40257176)
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キーワード | 文化政策 / 公立文化施設の管理運営 / 行政構造改革 / 芸術文化政策 / 指定管理者制度 |
研究概要 |
平成23年度は、平成20年度に行った調査の成果を踏まえて、前回の調査で明らかにできなかった新たな問題設定をし直し、全国の地方自治体を対象に悉皆調査を行った。そこで確認できたのは、われわれが調査で対象としている文化施設の閉館・休館・統合等について、行政改革の直接的な影響を数字的にみることはできなかったということである。このことは中間的に、行政構造改革は行われているが、いまだその具体的な影響が見られないか、あるいは行政構造改革の中でもなんとか持ちこたえている状況があることがうかがえる。われわれは、そのなんとか持ちこたえている状況、あるいはこの改革をさらなる発展の起爆剤にしているところに可能性を見いだしたいと考えている。さらに、今年度は、海外で行政構造改革が先行していたイギリスにおいて、現在芸術文化政策に関する実践において、どのような影響が出ているかについての調査を行った。1980年代に行政改革により財政的に不安定に立たされたイギリスの文化政策は、労働党政権の誕生により新たな政策課題として位置づけられることになるが、それは政府の力が増大することによって、芸術文化政策のシンボル的存在でもあった芸術文化評議会(アーツ・カウンシル)の在り方も変えることになったことは、興味深い事象として検証する必要があると考えている。なお、3月には神戸において、これまでの研究成果の進捗状況を公開でディスカッションする場も設けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2回の悉皆調査を通して、概ね傾向はつかめ、最終年度に向けて、行政構造改革の具体的なテーマでケーススタディに入れるから。
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今後の研究の推進方策 |
行政構造改革を、とくに市町村合併、指定管理者制度、公益法人改革の3分類からアプローチを行い、研究を推進することが昨年度最終の研究会で確認された。この研究成果を元に、秋に公開のシンポジウムを開催し、現場と政策実践の在り方を検討する予定である。
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