本年度は下記の通り、研究を実施した。 1.「近代日本における音楽専門教育の成立と展開」(平成17~19年度科学研究費補助金・基盤研究(B))において着手した音楽学校時代の楽譜・音楽関係書の受入状況についてのデータベースの作成を続行、特に試験公開へ向けて、各データの書式の統一、データ項目の整理等を行った。そして、楽譜のうち受入番号の最初の300件のデータについて、学内ネットワークにおける試験運用を開始し、データベース設計上の問題点を精査、改善へ向けた検討を開始した。この研究により、東京音楽学校が明治期に受け入れた楽譜について、目録データベースを公開して一般の調査利用に役立てる事業の基礎的な要件を整備することができた。 2.上記の先行研究(「近代日本における……」)においては、東京音楽学校の旧教務関係公文書資料564件について目録を作成したが、本研究を進めるうちに新たに117件の教務関係公文書の存在が確認された。その大半は大正4年から昭和31年にかけての合格者の入学願書である。これらについて、一冊毎の表紙写真を撮影、タイトルと判型等外形的データを目録データベース化した。この作業により、旧教務関係公文書資料の目録化がより完全なものとなり、その内容についてさらに詳細な研究を進めるための基盤作りを行うことができた。 3.邦楽調査掛の作成した邦楽の五線譜のうち、上記先行研究で行った目録化の際に漏れていた約20点につき、その概要を確認した。内容は主として芝居の合方集の下書きである。これにより、邦楽調査掛が行った事業の内容について、より具体的に知ることができるようになった。
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