本年度は下記の通り、研究を実施した。 1.音楽学校時代の楽譜・音楽関係書の受入状況についてのデータベースの試験公開を、受入番号1~325番について行い、データ項目についての整理等、問題点の精査と改善を進め、また統一著者名リストの作成を行った。データベースの概要と検索ガイド等を整備して年度内に正式公開する予定であったが、東日本大震災の影響で作業が中断したため、延期となった。 2.東京音楽学校の教務関係公文書のうち、大正8年から昭和22年にかけての合格者の入学願書全108冊について、新しいもの35冊(第73~108番、昭和15~22年)に記載されている人物情報3168件のデータベース化を完了した。 3.同公文書のうち、文書綴『外国人生徒関係書類自明治三十七年至大正〔十三〕年』には、同期間に東京音楽学校で学んだ主として近隣諸国出身の留学生の動向に関わる情報が含まれている。本年度はこの綴全1冊を撮影・デジタルデータ化し、書誌事項の解読、及びその概要について一覧表の作成を行った。 4.「作歌」(ここでは既成の声楽曲〔多くは外来曲〕に合わせて日本語の歌詞を新たに創作する実践を指す)につき、本学附属図書館所蔵の受入番号1~549番までの楽譜における歌詞の書き込みの調査を行った。また『東京芸術大学百年史』所載「唱歌詞集」、及び『音楽雑誌』所載の唱歌につき、題・作者・歌い出し・五線譜の有無等の一覧リストを作成した。
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