研究課題/領域番号 |
20320031
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
佐藤 一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30143639)
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研究分担者 |
木島 隆康 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (10345340)
大西 博 東京芸術大学, 美術学部, 准教授 (20345341)
桐野 文良 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 准教授 (10334484)
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キーワード | 自画像 / 東京美術学校西洋画科 / 自然科学的光学調査 / デジタル写真撮影 / 油画 / 絵画材料 / 絵画技術 / 油画保存修復 |
研究概要 |
東京芸術大学大学美術館が所蔵する明治期自画像作品は約200点を超える。その内41点はすでに調査が終了している。本年度は残された中から作品を選択し、自然科学的調査を実施した。修復については、それを必要とする自画像を選択し実施した。 調査実施には経験豊富な絵画に関する各専門家があたり、まず研究分担者であり文化財保存科学の専門家である桐野文良が中心となり木島隆康が加わって、どのような絵具が使用されていたのか、顔料分析を行った。本研究の要となる絵画技法材料の調査は、自然科学的調査を踏まえて、研究代表者であり絵画技法史材料学を専門とする佐藤一郎が中心となり実施した。さらに、デジタルアーカイブ分野の高精細画像データの集積作業は研究分担者である大西博が中心となって行った。また、自画像作品修復作業は、油画修復が専門の木島隆康が中心となって実施した。 画布を構成する亜麻布の形体および地塗り塗料の組成。絵画層の下に描かれた木炭や鉛筆による下素描と描画手順の解析。絵具の重層構造とX線画像から得られる鉛白(シルバーホワイト)の分布状況から、明暗法の実地状況。高精細デジタル画像をも含めた調査結果から、描画手順と色材の使用状況。ワニスの有無とその種類。修復歴。劣化状態と損傷状態等。これらの調査研究成果が総括されることによって、明治後期における油画技法材料の特徴と東京美術学校の西洋画教育指導内容が明らかになる。修復作業では、直に作品を触れることによって得られる画布や絵具層の堅牢性、柔軟性、劣化の進行状況等の直接的な感触がもたらされ、今後の油画技法材料および油画保存修復作品に対する考察に反映させることができる。
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