研究課題/領域番号 |
20320033
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
長田 謙一 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (20109151)
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研究分担者 |
後小路 雅弘 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (50359931)
加藤 薫 神奈川大学, 経営学部, 教授 (40291968)
藤川 哲 山口大学, 人文学部, 准教授 (50346540)
山本 和弘 栃木県立美術館, 学芸課, 特別研究員 (30360473)
木田 拓也 東京国立近代美術館, 工芸課, 主任研究員 (40300694)
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キーワード | プロパガンダ / 美術 / 伝統工芸 / 文化政策 / 映画 / 国際美術展 / アートプロジェクト / アメリカ |
研究概要 |
ここでいうプロパガンダは、(1)広範な大衆の意識・態度に影響を及ぼすべく意図的に展開される価値中性的な意味を踏まえつつ、(2)政治的・宗教的・思想的信条・価値観や権力意図を貫徹する意識操作という、通例否定的に論じられる活動を中心的に意味し、視覚文化をはじめとする感性的表現手段や祝祭などをその重要なメディアとする。これまでそれは、ナチスやスターリニズムにかかわって論じられることが多かったが、実際には、その発端は反宗教改革期、さらには古代弁論術にまでさかのぼることもできるが、とりわけ20世紀の「総力戦」とその平時への定着の中で、現代社会全般に深く根ざすものとなった。この視点からすると、それは、第1次世界大戦期、更には第2次世界大戦以降今日に至るまでのアメリカこそが最大規模で展開しつづけている活動でもある。近代の言説は<芸術>を社会的権力から隔絶してプロパガンダと敵対するものとして語るのを主流としてきたが、実際には、芸術とプロパガンダと政治は、「白いプロパガンダ」や対抗プロパガンダを含め捉えると、第二次世界大戦以後の「総力戦社会」においてその最深部において深くかかわりあってきた。本研究は、「全体主義におけるプロパガンダ」対「民主社会における芸術」という単純な対比図式を超えて、主として戦後め美術・デザインを再検討することを通して、この深部における芸術と社会の関係を多面的に明らかにした。最終年度にあたる平成22年度は、分担研究者の各個別研究のまとめをおこなったうえ、共同研究全体の共同討議の場を、海外からの参加者をも交えて設け、加えて、戦後沖縄におけるプロパガンダ問題を検討する場を別途設け、最終的に報告論文集を作成するという計画で臨んだが、東日本大震災によって、総括コロキウムと論集のまとめは23年度に実施することとなった。
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