中世末から近世初期にかけての芸備地域における文芸活動について、政治・経済・信仰・流通などの社会的基盤に着目し、毛利氏の役割とその影響を明らかにする。 中国地方を統一支配した毛利氏政権時代、政権の拠点であった芸備地域では、大内氏の文化遺産を継承し、京の文化を摂取するなど、活発な文芸活動が行われた。交通の要所であり経済的に恵まれた地域なので、豊富な財力が文化に向けられたことで、中世末期には相当の文化的蓄積があった。芸備地域は毛利氏時代の文化的蓄積をどのように継承し、新たな文化をどのように摂取・消化したのだろうか。芸備地域に関わる文化遺産を、毛利氏の文化政策と関連付けて考察する。
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