(1)第二次世界大戦を中心とする日本の近代の戦争において、国家の危機や民族の存亡の危機といった<危機の言説>が、どんなメディアを通していかに流布し定形化されていったのかを、中国、フランスの場合との比較を通して究明する。 (2)上記の<危機の言説>に対して、戦時下における検閲をかいくぐりつつ、どんな抵抗が文学や映画の表現・表象として生み出されたのか。それを中国、フランスの場合と比較しながら、当時は潜在的なものにとどまった表現にまで目配りして浮上させ、戦後の文学的映画的な表現・表象との関連性において捉え直す。 (3)潜在的なものも含めた抵抗の表現・表象があぶり出す戦争の別の側面、<危機の言説>と連動しつつ広まった戦争の紋切り型のイメージとは異なる性格を明らかにする。
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