研究課題/領域番号 |
20320040
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 道生 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60215853)
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研究分担者 |
住吉 朋彦 慶應義塾大学, 斯道文庫, 准教授 (80327668)
堀川 貴司 慶應義塾大学, 斯道文庫, 教授 (20229230)
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キーワード | 書誌学 / 漢籍 / 日本漢学 / カリフォルニア大学バークレー校 |
研究概要 |
本研究は、日本漢籍(日本で用いられた漢籍)の中で明治期以降に海外に流出し、現在も海外に所蔵されるものを網羅的に調査し、1、所蔵機関ごとにその目録を作成し、2、書籍一点ごとに書誌情報を示し、3、善本と考えられるものについては詳細な解題を付することを目的とする。今年度は米国・カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館の調査を行なった。カリフォルニア大学バークレー校は三井文庫(三井北家の蔵書)を収蔵する他、漢籍では今関天彭(明治期の漢詩人)、賀光中(シンガポール大学中文系教授)、薄井恭一(近年の蔵書家)の旧蔵書を擁することで知られる。昨年度に引き続き、上海図書館編『中文善本書志』、奥田勲「カリフォルニア大学東アジア図書館蔵古経コレクション目録稿」(聖心女子大学論叢、第94集)等に従い、(1)日本漢籍と(2)日本伝来の仏教経典とに分けて調査を行なった。(1)については、善本112種を抽出して目録を編集し、その中から日本に於ける伝来過程に特色のある15種を選んで解題を附した。またこの解題中の10種につき、同校東アジア図書館の協力を得て、図版32枚を附し、比較対照の便宜とした(『斯道文庫論集』第46輯に掲載)。このうち、例えば明弘治18年(1495)刊行の『大明一統志』は、天順5年(1461)序刊本を覆刻した書坊の産であるものの、16世紀までに朝鮮半島に転じ、約1世紀止まったのち、17世紀以前に日本に再転、3世紀にわたり日本の漢学者の参考に供されたが、近代の動乱を経て米国に三転したことが知られる。こうした版本の伝来に対する研究成果は、漢籍流動の経過を明らかにし、文化史の基盤的変動の一斑を窺わせる。(2)については、閲覧することのできた約110種の書の目録を編集し、その中から伝本稀な2種を選んで解題を作成した(『日本漢学研究』第5号に掲載予定)。
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