研究目的を「明版を底本とする和刻本の出版に関する研究課題の発見と研究方法の推進」に絞り、これを、a日本漢籍史上からみた和刻本の価値の解明(研究代表者山崎誠担当)、b序跋の集成と分析を通じた日本国内の出版事情・出版環境(出版機構・書林・地方書肆研究を含む)の解明(研究分担者入口敦志担当)、c和刻本出版の東アジアに於ける比較思想史・比較文学史的研究(研究代表者山崎誠担当)、d和刻本をめぐる日中漢越欧の書物交流史の研究(研究分担者陳捷担当)の四つの視点から、主題である和刻本の底本の解明へと収斂させたいと考える。具体的には、以下の研究対象と研究目的を掲げる。 (1)16~17世紀の輸入幼学(蒙学)書の研究(山崎)中日韓越の下層社会に於ける蒙学書の諸相とその役割。 (2)鎌倉・室町以後における中国・朝鮮刊本の将来と受容(陳)イエズス会宣教師との比較を視座とした哲学書の出版を中心に。 (3)図入り版本の受容と変容(入口)『帝鑑図説』など図入り本の中日韓の諸本の挿絵の図像学的、書誌学的比較研究
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