研究課題/領域番号 |
20320047
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡室 美奈子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10221847)
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研究分担者 |
三神 弘子 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (20181860)
八木 斉子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10339666)
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キーワード | アイルランド演劇 / ベケット / フランク・マクギネス / トム・マーフィー / 北アイルランド / モダニズム / IASIL / 声 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、三神と八木はアイルランド演劇研究会を、岡室はベケット・ゼミを定期的に開催し、それぞれ国内のアイルランド演劇研究者と若手ベケット研究者を組織し、日本の研究水準の向上に寄与することを自指した。どちらも一定の成果を得ることができ、来年度アイルランドと日本で書籍として刊行予定である。個別の研究成果は以下のとおり。 岡室は、3年間の研究の集大成として、モダニズム期にさまざまな形で表象された脳内イメージの直接的な投射をベケットの『…雲のように…』の基本構造と捉える新しい論を打ち出した。夏期休暇にはアイルランド国立大学ダブリン校で資料を収集し、デクラン・カイバード教授と意見交換し、春期にはテキサス大学オースティン校でベケットの草稿と手紙を閲覧し、新説の裏付けを得た。 三神は、トム・マーフィーの全体像を探る作業の一環として、1916年の復活祭蜂起75周年を記念して書かれたThe Patriot Game(1991)を中心に取り上げ、オケイシーの『鋤と星』(1926)、ジョンストンの『鎌と日没』(1958)、マッケイブの『騎手を引きずり下ろせ』(1966)と比較検討することによって、マーフィーがこの作品で提示する歴史観について検討した。また、夏にはダブリンに出張し、国立図書館、トリニティ・カレッジ図書館で、上演記録、マニュスクリプトなどを調査した。 八木は、一昨年度と昨年度に引き続き「演劇台本上で表現・指示された声と音響を舞台公演がどのように3次元化するか」というテーマでフランク・マクギネスによる演劇作品を実例と理論から検討した。最終年度である今回は、理論をもとに実例を詳細に追っていく作業を主とした。大英図書館に所蔵されているマクギネス作品の劇場録音資料を昨年度より分析していたが、これをひととおり終え、成果としての論文を『演劇映像学2010』に発表した。
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