本研究は現在の世界の文学の複雑なプロセスを全体としてとらえるために、以下のような問題の解明に焦点をあてる。 (1)ヨーロッパ周辺の越境的な文学のありかたロシア東欧の亡命文学の場合。作家たちの越境・亡命体験や、異文化との接触が、その創作にどう影響し、また亡命作家の存在が西側の文学にどんなインパクトを与えたかについて総合的な研究を目指す。 (2)ヨーロッパ周辺の越境的な文学のありかた広域スペイン語圏文学の場合。ラテンアメリカ文学や北米のスペイン語文学に本質的に備わっている越境性に焦点をあて、その文学的意義と現代世界の文学に与えつつある影響を解明する。 (3)翻訳の役割と、「世界文学」論の展開および新たなカノンの形成。翻訳と原作の関係、原作に備わる文化的アイデンティティの翻訳による変容といった側面を重視する。
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