本研究は、西暦12世紀からイラン各地に登場する説教講話集会で大衆の宗教的訓育を目的として語られ、また、説教者が自らの宗教的体験を文章化する過程で登場する説教講話のペルシア語文の言語表現と神秘主義思想との深いかかわりに注目し、この点からの重要性が際立つ3 つのペルシア語説教テクスト(『神秘の開示Kashf al-asrar』第三部、『聖霊の安らぎRawhal-Arwah』、説教講話集『マアーリフMa'arif』)を選択し、神秘主義との関係におけるペルシア語説教テクストの特徴を明らかにするために有効な検索項目を設定した「ペルシア語説教テクスト文例対比データベース」を構築し、これを活用することで、13世紀の後半に頂点を迎えるペルシア神秘主義文学の形成過程に、ペルシア語説教テクストが果たした役割の学問史的位置づけを実証的に提示しようとするものである。
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