研究分担者 |
水野 善文 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80200020)
坂田 貞二 拓殖大学, 商学部, 教授 (80109751)
橋本 泰元 東洋大学, 文学部, 教授 (40256764)
松村 耕光 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (60157352)
山根 聡 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (80283836)
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研究概要 |
本年度は3回の研究会を開催し、ヒンディー、ウルドゥー、ペルシア、ベンガル韻律の概要を確認し、その問題点を考察した。明らかになった重要な問題は、次の通りである。 1.ヒンディーとウルドゥーは現在は異なる韻律を採用しているが、ウルドゥーでペルシア韻律を採用する以前はヒンディー韻律が用いられていた。2.ヒンディー韻律でペルシア韻律と類似するリズム構造を持つ詩形はあるが、ペルシア韻律からの直接の影響は認められない。3.イスラーム化以前のペルシア韻律はストレス数が固定されたもので、シラブルの数は規定されていなかった。それが発展して、一部はサンスクリットのanus t tub詩形になり、またイスラーム化後のペルシア韻律を代表するmutaqarib詩形にもなる。4.ウルドゥー韻律は、アラビア韻律を基に改良を加えたペルシア韻律を採用しているが、アラビア・ペルシアにないインド独特の有気音等をカウントするために附則を加えている。5.ベンガル韻律の発展段階は、古ベンガル語(チャルヤーパダ)のマートラー韻律、中世ベンガル語文学の2種すなわちポヤール(8,6ないし8,10)およびトリポディ(8,8,12ないし8,8,10)、そして現代ベンガル語文学における現代語の音韻構造の特徴を反映した新しい韻律(チョラcharaa)である。6.現代ベンガル韻律はマートラーの三分類を基本にしたP.Sen方式と、この三分類にテンポを結びつけた韻律学者A. Mukhopadhyayの方式が併用されており、詩形によっては全く異なる韻律に分類されることがある。なお、専用のサーバー上で、ヒンディー、ウルドゥー、ペルシア、中世ベンガル韻律の音声サンプルを付したデジタル詩論書を作成し、公開した。
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