アフリカには声調言語が多く話されている。しかし、その実態は、十分知られているとは言い難い。通常、声調言語(tonelanguage)という場合、中国語やベトナム語、タイ語などの東アジアの大陸部の言語をイメージすることが多い。しかしながら、これらの言語とアフリカの声調言語とでは、幾つかの大きな違いがある。とりわけアジア諸語では、声調の機能として単語を区別する語彙的機能が際立っているが、アフリカでは語彙的機能は一般に低い。しかしアフリカの言語では、声調の文法的機能が高い。この声調の文法的機能は、アジア諸語にはほとんど見られない。 本研究は、声調の様々な点を考慮しつつ、声調の文法的機能をアフリカ諸語において明らかにし、ひいては声調の十全な理解を提供することを目的とする。
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