研究概要 |
本研究の目的は、日本語の文理解における名詞句と動詞の統合過程を心理言語学の観点から考察することである。特に、脳波の一種である事象関連電位(Event-Related Potentials, ERP)を指標として、脳内での時空間特性を検討することによって、文理解に関する理論的・実証的研究を行う。 例えば、「太郎が転んだ」に対して、「*太郎を転んだ」ではどのようなERPが惹起されるかを観察することによって、この非文法性がどのような原因によって生じるかを明らかにすることが可能である。なぜならば、形態的・意味的・統語的な逸脱のそれぞれに対応する特定のERP成分が明らかになりつつあるからである。よって、名詞句と動詞の統合が困難である状況を引き起こす原因が形態・意味・統語のいずれか、またはいくつかの組合せであるかが解明できる。
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