研究課題
本年度は、まず6月に、千田がシドニー大学でのパプア諸語に関する国際学会に出席、シンブー諸語の歴史的再構築に関する発表を行なうとともに、おもなパプア諸語研究者に研究計画を周知し、協力関係を確立した。続いて8-9月にかけて、大西および研究協力者のKemelfieldがブーゲンヴィルを中心に、また千田がシンブーを中心に、約1ヶ月の現地調査を行なった。さらに千田は、若手研究(B)(20720107)の予算で、3月に補足調査を行なった。主要な業績としては、パプア諸語比較言語学的研究の現在の到達点を示すPapuan Pasts所収の諸論文の英文レヴューを大西/千田の共同で執筆したこと、千田がドム語の意味論をめぐる論文を大西編集の論集に掲載したこと、等があげられる。大西/Kemelfieldの現地調査では、南ブーゲンヴィル4言語のうち、3言語の5主要方言の基礎語彙とテキストをある程度収集することができた。政治的に不安定であった南ブーゲンヴィル南部は避け、その他の地域でデータを集めた。また次年度の本格的な調査に向けて、政府関係者や現地の協力者からの情報集めと連絡・調整に時間を費やした。これらはおおむね順調に進んだ。千田は、8-9月の調査では、東シンブー地域全域の方言探査を行い、基礎語彙の収集を行なった。GPSにより地理的情報のデータを得ることも行なった。言語/方言境界の輪郭がかなり明らかになった。(この成果の一部は民博で口頭発表。)さらに、3月の補足調査で、言語データの収集を続けた。言語地図作成の作業は、現地で集めた地図のデジタル化や、言語/方言の地理的分布に関する情報の整理等が、連携協力者寺村の助けを得て徐々に進んでいる。しかし、特にブーゲンヴィルでは、12月のGovernorの選挙の後自治政府の体制が変わったこと、大西/Kemelfieldがまだ研究ヴィザを取得していないこと等から、ホームページによる情報公開を見合わせている。なお、大西と千田が収集したデータの分析とデータベース化の作業は、研究協力者稲垣和也の助けで着実に進んでいる。
すべて 2009 2008
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大修館書店
ページ: 150-153
People and Culture in Oceania 24
ページ: 81-87
地球研言語記述論集 1
ページ: 95-121
Aziaj kontribuoj al esperantologio : Aktoj de la 30-a Esperantologia Konferenco en la 92-a Universala Kongreso de Esperanto, Jokohamo 2007, Universala Esperanto-Asocio
ページ: 20-32
2008年度韓國言語學會 冬季學術大會資料集
ページ: 91-101