研究概要 |
大西(研究代表者)、千田(研究分担者)、稲垣(連携研究者)、寺村(連携研究者)の4名は、4月から7月にかけて、前年度のデータ整理を行った。 大西は、4-5月、7月、8月、12月-1月の4度にわたり、オーストラリア・アデレード在の研究協力者、テレーズ・ケメルフィールドのもとで、バイツィ語およびモトゥナ語の資料整理を集中的に行った。このうち、8月のアデレード出張は、その続けて2名で南ブーゲンヴィルに行き、最終実地調査を行う予定だったが、その予約直後に科研予算が秋まで凍結されるという通知が来たため、現地調査をキャンセルせざるをえなくなった。 稲垣は、これも予算執行の凍結のため、自費で9月10日から24日にかけて、ポートモレスビー、南ブーゲンヴィルでの、短期のナゴヴィシ語実地調査を行った. このように、23年度の後半の最終実地調査が予定通りにできなかったため、南ブーゲンヴィル諸語の比較語彙集のまとめや,予定していた英語論文の執筆が遅れている。24年度中にまとめたい。 この他、大西は、インドの北ベンガル大学およびアッサム州での国際セミナーで、危機言語の記録に関するセミナーや講演を行った他、業績にあるような危機言語関係の共著書を刊行した。 一方、千田は、若手研究(B)科研(「ドム語の民族誌的言語資料の調査研究」)の予算で、8月31から9月22日にかけてシンブーで言語調査を行い、その際、不足していた東シンブー諸語の2方言の語彙データを収集した。その結果、東シンブー諸語の比較語彙データがほぼ網羅され、祖語再構が進んだ。その成果の一部は、2月にヨーロッパの学会および招待講演で、口頭発表した。学会発表に基づく英語論文を、2012年度の出版に向けて準備中である。
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