研究概要 |
初年度の本年は6月に狩俣(代表者),金田(分担者),協力者全員による研究打合せを,同じく9月には石垣島で研究打合せと共同の臨地調査を行ない、調査方法、調査内容についての再確認を行なった。それぞれが動詞、形容詞の文法の記述・研究を行なう南琉球(宮古八重山諸島)地域の分担の地点は以下のとおり。狩俣繁久(波照間島,宮古伊良部島),金田章宏(西表島祖納),下地賀代子(多良間島,石垣島宮良),仲間恵子(石垣島真栄里),島袋(狩俣)幸子(石垣島石垣),仲原穣(石垣島宮良)。1月には今年度の進捗状況と来年度以降の研究計画についての研究打合せを行なった。研究打合せでは、八重山方言の動詞のアスペクトの記述に関して間接的エヴィデンシャリティーを明示する形式があり、それが重要な要素となることを確認した。 狩俣,金田,下地,島袋は,調査・研究の成果の中間報告的な発表を沖縄言語研究センター(代表・上村幸雄琉球大学名誉教授)の研究会で行なった。金田(6月14日),仲原(6月14日),狩俣(11月15日),下地(1月25日),島袋(1月25日)。その研究成果の一部を、狩俣繁久は「波照間方言と与那国方言の形容詞語尾を言語接触からみる」としてまとめた。金田章宏は「沖縄西表島(祖納)方言の格ととりたての意味用法」としてまとめた。いずれについても裏面「11.研究発表」を参照。狩俣は波照間島方言、与那国島方言のそれぞれの形容詞の活用語尾を調査し周辺方言と比較した結果、石垣島方言、沖縄島方言との言語接触によって影響をうけた形式が混在していることを明らかにし、海によって隔てられた八重山諸島においても文法形式に影響を与えるほどの言語接触があったことを指摘した。金田は祖納方言の名詞の格=とりたての概要について報告した。
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