研究課題
本研究は,「語」の認知処理に関わる心内・脳内メカニズムを,事象関連電位(ERP)計測の技術を用いて解明することを目的としている。具体的には、演算と記憶という質の異なる複数のメカニズムが「語」の処理に関与することを示す根拠を蓄積することを目指している。2012年度は、前年度中に行った日本語動詞実験の結果解析を行った。この実験では、五段活用動詞の否定接続が完全に規則的であるのに対し、過去接続が音便変化を含むことに着目し、活用の違反に対するRP反応を比較した。結果としては、「連用形+ない」(例:「読みない」)にはP600、「終止形+ない」(例:「読むない」)にはLANに似た成分とP600、「連用形+た」(例:「読みた」)にはN400とP600が観察された。陰性成分の相違は、違反検知に用いられる処理過程の性質の差を反映していると考えられ、例外のない否定形の処理には演算規則が、例外を含む音便形の処理には記憶が関与していることが示された。この結果を7月の国際会議で発表し、さらに12月には国際研究集会の招聘を受けて同内容を発表した。また、連濁についての実験案を策定し、実験を実施した。この実験では、語彙的に連濁しないことが決まっている語(例:「姫」)と、ライマンの法則により連濁できない語(例:「河馬」)を、誤って連濁させた語に対する反応を、正しい形との比較において計測した(例:「星びめ」vs「星ひめ」)。連濁しない理由が語彙的記憶であるか、一般的法則によるものであるかによって、異なる成分が観測されることを予測している。また、本来連濁するはずの語が連濁しない例についても、正しく連濁した形との比較において計測した(例:「泥くつ」vs「泥ぐつ」)。観察される成分によって、これが統語違反と同様の「規則」の違反と言えるか否か、検討できると考えている。3月に実験が終了し、現在結果を解析中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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漆原朗子編『形態論』朝倉日英対照言語学シリーズ
巻: 4 ページ: 未定
T. Kageyama and W. Jacobsen (eds.) Transitivity and Valency Alternations: Japanese and Beyond, De Gruyter Mouton.
巻: なし ページ: 未定
Neuro Report
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Language, Information, Text
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N. Miyake, D. Peebles, & R. P. Copper (eds.) Proceedings of the 34th Annual Conference of the Cognitive Science Society
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