研究概要 |
「生活に必要な日本語の力とはなにか」を明らかにするために,平成20年度は,質問紙調査「生活のための日本語:全国調査」を実施した。これは,各種生活場面(接触場面)における在住外国人及び日本人の言語使用と日本語学習ニーズについて広く情報収集し,実態を把握しようとするものである。実施時期は,2008年10〜12月であり,その後,集計及び分析を行った。調査は,外国人と日本人それぞれを対象としている。 1.外国人調査 調査対象は,日本在住の20歳以上の外国人。全国から,外国人登録者数及び外国人比率を参考に20地域を選定した。各地域で,国際交流関係機関等を介して質問紙を配布し,仲介者による回収または,回答者が調査会社へ直接返送という方法をとった。各地で,最低50部配布し,回収数は1,662であった。 質問紙は,(1)14場面(及びテーマ)105項目の言語行動に関する,接触頻度(言語を問わない),日本語による遂行の可否,習得希望の有無,(2)日本語使用及び学習における問題点,(3)属性,で構成される。日本語以外に,中国語,ポルトガル語,英語,スペイン語,タガログ語等全12言語に翻訳したものを使用した。 2.日本人調査 調査対象は,日本在住の20歳以上70歳未満の日本人。層化二段無作為抽出により,全国200地点,各地25名を住民台帳より抽出し,5,000名に質問紙を郵送配布した。その内,1,176部を郵送により回収した。 質問紙は,(1)9場面(及びテーマ)34項目の言語行動に関する,接触頻度(言語を問わない),日本語使用の有無,日本語で行う場合の困難度,(2)外国人と日本語を使ってコミュニケーションする際の工夫,(3)属性,で構成される。 この種の調査を全国規模で行ったものとしては日本初であり,日本における在住外国人の日本語使用やニーズについて,全体的な傾向及び地域による違いなどを明らかにすることができた。2009年3月14日には,関係者及び調査協力者を対象に報告会を実施した。
|