研究課題/領域番号 |
20320074
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
金田 智子 学習院大学, 文学部, 教授 (50304457)
|
研究分担者 |
宇佐美 洋 国立国語研究所, 日本語教育研究情報センター, 准教授 (40293245)
森 篤嗣 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (30407209)
柳澤 好昭 明海大学, 外国語学部, 教授 (80249911)
黒瀬 桂子 国立国語研究所, 日本語教育研究情報センター, 非常勤研究員 (20462814)
中上 亜樹 国立国語研究所, 日本語教育研究情報センター, プロジェクト研究員 (90581322)
|
キーワード | 日本語能力 / 生活日本語 / 定住型外国人 / 言語使用実態 / 学習ニーズ / 地域調査 / 質問紙調査 / インタビュー調査 |
研究概要 |
在住外国人が日本社会の一員として地域に根づき、十全な生活を送ることを可能にするために、「生活に必要な日本語の力とは何か」を明らかにすることを目指した。本研究課題の最終年度にあたり、これまでに実施した調査の中で、特に狭域調査(浜松調査、外国人被調査者101名)の結果分析を中心に行い、在住外国人のニーズ、日本語教育・学習における課題等を明らかにした。 1.日本語教育の内容.方法を充実させることの重要性 2010年度実施の浜松調査に関し、前年度に引き続き、分析を行った。質問紙調査及び日本語能力測定(J-CAT)によって得られたデータを分析した結果、たとえば、(1)日本語能力と滞日歴には弱い関係はあるが、滞在歴が長くなれば日本語能力が高くなるということは言えない、(2)日本語の学習歴が長ければJ-CATの得点が上がるという傾向は必ずしもみられない、といったことがわかった。日本に長く住めば日本語習得が進むというわけではなく、日本語能力を一定の期間で確実に向上させるためには、日本語教育・学習の内容や方法における充実をはかる必要があることがあらためて確認できた。 2.在住外国人に対する日本語教育の内容を決定する際の観点 質問紙調査及びインタビュー調査により得られたデータからは、(1)日本語で行うのが困難であることの要因に、(1)漢字の理解度、(2)経験の有無、(3)援助者の有無があること、(2)日本語で行うのが重要であることの要因に、(1)仕事との関係、(2)自立欲求の強さ、(3)交流欲求の強さなどがあることがわかった。日本語教育の内容を検討する際、学習者の属性(職業、母語、子どもの有無等)により区別することが多いが、本研究で明らかとなった困難度・重要度を決定づける要因は、必ずしも属性と一致するものではない。これらの「要因」を手がかりとして、在住外国人の学習者に対する教育内容を選び、優先順位を決めることが可能となる。
|