近年の国際化社会にあって、国内外で日常的に直面する多様な異文化摩擦や諸問題を平和的に解決するには、与えられた情報を鵜呑みにせずに、複数の視点から批判的・論理的に思考して、独創的な解決策を発信していく力が、「母語としての日本語」と「英語」の両言語で求められている。本研究では、「批判的に読解」(Critical Reading)し「論理的に発信(Logical Presentation)する力を、両言語で、小中高大の有機的な連携のもとに育成したいと考え、そのための指導法と教材のプロトタイプを開発することを目的としている。具体的には次のとおりである。 (1)批判的・論理的思考力養成 小中高で学ぶ国語や国語以外の教科内容、大学の一般教養科目や新聞・雑誌等で接する知的で身近なコンテンツ、歴史や倫理に関連する題材を取り上げることで、人文社会科学の知識習得にも寄与する教材のプロトタイプを作成し、「批判的に思考して論理的に発信できる学習者」の育成に取り組む。教材化には英語教育、史学、法哲学・生命倫理の研究者が取り組む。 (2)英語の語彙力養成 効果的なコミュニケーションには豊かな語彙力が必須である。個重視の自律学習を促す「英語の語彙指導用CALL 教材」(開発済みのプロトタイプ)と、協働作業重視の対面式授業を有機的に組み合わせた指導法(Blended Learning)を提案し、英語の「語彙力」と「チャンク単位で情報を理解していく力」の養成を図る。
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