研究概要 |
22年度は,実施計画にしたがって次の4つの事業を実施した。 1国内外の主にフランス語学習者に対してするアンケート調査の実施 本研究の目的は,動機づけ理論のひとつである期待・価値理論の枠組みで「課題に対して学習者が認知するコスト以外の3つの価値(重要性・楽しさ・実用性)を高めれば、相対的にコストを小さくすることができ、動機づけを維持し、強化することができる」という仮説を検証することである。そのための基礎研究として、コストを含む4つの価値に対する認知および自己決定理論に基づく動機づけについて、国内だけなく海外でもアンケートを実施してきた。今年度は京都大学,北海道大学にくわえて、韓国,台湾でフランス語学習者に対してアンケート調査を実施した。 2「重要性」を学習者が認知できるようなCALL教材とDVD教材の開発 国内外のフランス語関係者およびフランス語学習者へのインタビューの視聴により日本のフランス語学習者にその「重要性」を理解させ、ひいては彼らの動機づけの向上につなげることができるようなDVD教材を開発するのが目的である。今年度は,これまで収録したインタビューを編集し,DVD教材として使えるようにし、実際に授業で使用した。 3国内外の学会での発表と学会誌への論文投稿 上記のアンケートを分析し,その結果を22年度までのアンケート結果とあわせて、国内学会のみならずフランスとオーストラリアで発表し、論文として投稿した。 4外国人研究者の招聘と国際シンポジウムの開催 日本の学習者の外国語学習に対する動機づけを維持するためには,『ヨーロッパ言語共通参照枠』で提唱されている複言語主義,複文化主義に基づく教育が有効なように思える。昨年度に続いて,この『参照枠』がアジアの各地でどのように受容され,文脈化されているかを議論するために,海外から講演者、パネリストを招聘し、国際シンポジウムを開催した。
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