本研究の目的は、小学校・中学校・高等学校に勤務する現職英語担当教員の専門的指導力を、「英語力」と「反省的実践力」という視点から分析し、それぞれの教育課程の教員に固有の、また共通して求められる、専門的指導力とは何かを検証することである。日本の公立小学校で外国語活動(英語)や公立中学校や高等学校で英語科を担当している教員を対象に、アンケート調査、インタビューによる聞き取り調査、授業観察を行い、収集したデータをもとに量的かつ質的分析を行う。また、日本と同じく「外国語としての英語」教育環境にあり、小学校英語教育をすでに導入している韓国、台湾においても同様の調査を行い、それらのデータを日本のデータと比較分析することで、日本の英語教員に求められる専門的指導力の特徴について考察する。2011年度は以下の課題を遂行した。 課題1:3国の現職英語担当教員を対象に、専門的指導力についてのアンケート調査を実施した(有効回答数は、日本332人、韓国196人、台湾224人)。 課題2:小学校外国語活動と中学校・高等学校の英語科の授業との接続の問題について、小・中・高の教員を交えたインタビューによる聞き取り調査を実施した。 課題3:課題1および2の活動の成果として、IATEFL、LTE、LEDの3つの国際学会でデータ分析の中間報告を行った。また、研究に協力いただいた外国語活動担当の先生方を対象に、英語を教えることを専門としない教員の指導力向上を目指したワークショップを行った。
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