研究課題
本研究の目的は、学習英文法の内容を根本的に見直し、科学的根拠を与えることにある。第一に、好ましくない有害な英語教育の内容を洗い出すこと、第二に、いまの英語の実態を反映していない高等学校の学習内容、受験参考書や英和辞典の内容を、科学的な実態調査をもとに修正を求めることにある。その目的を達成するために、本年度は(1)学習文法を形成する多様な教材の中身を点検し、問題点を洗い出すこと。(2)phraseologyの研究を進め、現代英語の実態を明らかにすること。(3)(1)(2)の成果をもとにした新たな学習英文法書の枠組みを公開すること、の3点を目標に掲げた。本年度は、予定した目標に向けて大きな前進をした。(1)に関しては、八木の「同等比較は最上級の意味を持つか?(上)(下)」が、100年以上続いてきた英語教育の重要な文法事項「同等比較as…as any/as…as everが最上級の意味をもつ」とする内容が根拠をもたない、無用な「文法」であることを指摘した。このような問題点は、単にこの事実にとどまらない、文法全体の批判的検討を迫る問題提起である。この他、「英語教員のためのリフレッシュ講座」の招待講演で私立の高等学校の入試問題の数多くの問題点を指摘し、中高の先生方と問題点を共有した。(2) に関しては、八木・井上いずれも、現代英語の分析と新しい定型表現の傾向を、内外の学会の大会や、研究論文で論じた。井上の「新しいフレーズの実態-until toの場合」がその論文の1つである。(3) に関しては、日本で初めての「フレイジオロジー研究会」を立ち上げ、2回の研究会を主宰し、数多くの発表をしてもらった。また、2009年度に開催した国際的な研究会で発表された論文をまとめた論文集を1冊の本の形にして出版した。学習文法の枠組みを構築する方向は、これからの課題となる。
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『英語学・英語教育研究』(日本英語教育学会)
巻: 16 ページ: 170-187
『英語教育』11月号
巻: 59:9 ページ: 69-71
『英語教育』12月号
巻: 59:10 ページ: 69-71
言語コミュニケーション文化
巻: Vol.8, No.1 ページ: 19-33
EUROPHRAS (European Society of Phraseology) 2010 proceeding
巻: (CD-ROM)