研究課題/領域番号 |
20320090
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
三宅 美鈴 広島国際大学, 国際交流センター, 教授 (50352034)
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研究分担者 |
松川 文雄 広島国際大学, 工学部, 教授 (50352042)
重安 哲也 広島国際大学, 工学部, 助教 (90352046)
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キーワード | 絵本読み聞かせ / 眼球運動 / 文字認識 / 小学校高学年 / 小学校英語教育 |
研究概要 |
最終年度である2010年度では、1度の読み聞かせ効果と4か月にわたる長期読み聞かせ効果の比較を語彙テストおよび内容把握テストを実施し検証した。比較パラメータとして、語彙テストの正答率および正答に至った反応時間を採用し、音と文字との結び付け能力の変化の違いを調査した。結果は、4か月の読み聞かせの方が、語彙テストすなわち音と文字とのマッチングにおいて得点が高かった。その要因として、これまで言われてきた頻度だけに留まらず、それ以外の要因があることが判明した。さらなる検討が必要ではあるが、ローマ字規則であるという示唆が得られた。反応時間からは、4か月後の方がアクセスの時間が速くなっていることが分かった。つまり、音と文字とが結びついた形でメンタル・レキシコンに蓄積されたことになる。 絵領域あるいは文字領域における児童の視線滞留時間の割合と、語彙テストおよび内容把握テストの正答率との関係にも着目した。結果は、文字領域を多く見ていた生徒ほど語彙テストの得点は高かった。一方、文字または絵領域のどちらかの領域を見ていた生徒の多くが、読み聞かせが進むにつれ、文字と絵の両方の領域を見るように変化し、内容把握テストの得点が向上していた。つまり、最初は文字に興味を示し文字領域を多く見ていた生徒は、読み聞かせ活動が進むにつれて絵を見る余裕が出てきた結果、文字と絵の両方の領域を見ることによって、内容把握力が向上したと考えられる。逆に、始めは絵を中心に見ていた生徒は、活動が進むにつれて文字にも注意を払うようになった結果、音と文字とのマッチング能力も向上し、内容把握能力においても理解力が向上したと考えられる。注目すべきは、絵本の見方を特に指示しなくても、読み聞かせを重ねることで、自然と生徒独自のスタイルで文字認知や内容把握力が向上していったことである。
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