研究課題
平成22年度は、シンポジウム・研究会の開催と個別研究を軸に活動を行った。5月に国際シンポジウム「ジェントリの起源-日本の武士と比較して-」をお茶の水女子大学で開催し、英国カーディフ大学のピーター・コス教授を招聘し、その講演を中心として、コメントと討論を行った(その記録は平成23年度中に刊行の予定である)。質疑応答も活発であり、非常に有意義なシンポジウムであった。研究会としては、7月14日に日本中世に関する研究会(安田次郎「日本中世の猶子(養子)について」を行ったほか、9月11日から13日の3日間、熊本において研究合宿を行った。研究合宿の主な内容は、(1)5月の国際シンポジウムの出版計画を中心とする研究計画の打ち合わせ、(2)身分研究の方法論をめぐる集中的な討論、のほか、(3)熊本大学教育学部の春田直紀先生のご尽力で、阿蘇神社の文書史料・絵画史料の見学及び、阿蘇社領の山村の巡検を行うことができた。(3)については、詳細な解説と実見とによって、歴史地理的な知見を深めることができ、貴重な経験となった。以上のシンポジウム及び研究会・研究合宿のほか、個々のメンバーが個別のテーマに即して、研究を進め、論文・学会報告等の形で発表を行っている。これらの活動を通じ、単に地域的に異なる個別事象を並列する「比較」にとどまらない、比較史的分析の方法について、認識を深めることができた。「身分感覚」というキーワードについては、個々のメンバーの個別研究のなかにそうした問題関心が生かされつつあるが、今後、文学・思想などの方面の研究者との対話をより密接に行ってゆくことが予定されている。
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部落問題研究
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