研究分担者 |
檀上 寛 京都女子大学, 文学部, 教授 (60163721)
岸本 美緒 お茶の水女子大, 人間文化創成科学研究科, 教授 (80126135)
松井 洋子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (00181686)
柳澤 明 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50220182)
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70260742)
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研究概要 |
2009年8月3日に京都で開催した研究会において,分担者檀上寛が「「册封」の歴史的理解にむけて」と題する報告をおこない,明代朝貢・册封の実態とその機能について討議した。代表者岩井茂樹は,西嶋定生の「冊封体制論」の論理とその問題点を指摘する報告をおこなった。この枠組みは学界において大きな影響力をもってきたが,近年,夫馬進「一六〇九年,日本の琉球併合以降における中国・朝鮮の対琉球外交--東アジア四国における冊封,通信そして杜絶」(『朝鮮史研究会論文集』46)がその事実誤認を批判するなど,再検討が進みつつある。隋・唐時代,日本の天皇は使節を中国に派遣したが,冊封は受けず,また遣隋使・遣唐使が「表文」を上呈した記録はない。これを朝貢使節であったとする見方もあるが,その立証は不十分である。日本の天皇による朝貢は「倭の五王」時代(431年~502年)の間に9回あったことは確実であり,また,15世紀,明の永楽帝による足利将軍への「日本国王」の冊封により復活したが,16世紀半ばを最後に朝貢関係も絶えた。前近代東アジアの国際関係を朋封体制で概括するよりも,その形式と関係の内実に即して理解するほうが有益であろう。明代の対外通交における「盟誓」の不在は,近世東アジアの国際関係の特質として重要な意味をもっていたと考えられる。 2010年3月9日~10日,城山智子氏の研究プロジェクトと合同でInstitutions and Dynamics of the Pre-Modern Global Trade : Asia and North/America in the 18th to 19th Centuriesと題する国際ワークショップを京都で開催した。中国史,オスマン史,北アメリカ史,日本史の研究者が国際貿易の制度の変遷を動態的捉える試みである。代表者岩井は"Freedom and control in international trade of the early-modern East Asia"と題する報告をおこない,討議の中から貴重な知見を得ることができた。
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