研究課題/領域番号 |
20320111
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
桃木 至朗 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40182183)
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研究分担者 |
八尾 隆生 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50212270)
山形 眞理子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90409582)
嶋尾 稔 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 准教授 (90255589)
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キーワード | 東洋史 / ベトナム / 歴史地理 / 権力拠点 / 空間構成 / 中世 / 近世 / 都城 |
研究概要 |
研究初年度に当たる20年度は、まず嶋尾・蓮田隆志(研究協力者)を中心に文献史料・先行研究の収集・整理をおこない、連携研究者・研究協力者を含むメンバー各自が、自己の分担部分の文献研究に着手した。また夏季に八尾(タンロン周辺の屯田所跡)、桃木(ホアルーと西都の都城プラン)、西野範子(研究協力者、タンロン皇城遺跡)、山形・久保(クイニョン、チャーキュウなどのチャンパー都城遺跡)、松尾(ビンチティエン地域における大越の初期拠点)、について、それぞれ分担に従って1〜3週間の現地調査をおこなった。10月に大阪大学で研究会を開くなどして、以上の初期的成果についてメンバー間の共有をはかるとともに、現在まで文献や持ち帰った調査資料にもとづく研究を続けている。また11であげるいくつかの成果報告をおこなったが、中でも現在ベトナムの学界・社会で最大の関心事となっているタンロン=ハノイ(2010年に建都1000年を迎える)の都城としての歴史について、08年12月の第3回ベトナム学国際会議の総合地域学部会で桃木(李陳時代)、八尾(黎朝前期)がそれぞれ研究発表をおこなったことが特筆される。都城を構成すべき諸機能・諸空間の配置などを論じたこれらの発表は、近世後期の史料とイメージを無批判に中世に投影する傾向の強い従来の研究に対して、中世史料の読み込みと東アジア都城研究の成果の応用を対置したもので、内裏に当たる空間の範囲、各城壁や空間の呼称についてベトナム側の通説が見落としていたいくつかの論点を提出して、タンロン皇城遺跡保存のための専門家委員会の委員長であるファン・ブイ・レー教授の賛同をえた。
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