研究課題/領域番号 |
20320111
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
桃木 至朗 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40182183)
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研究分担者 |
八尾 隆生 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50212270)
嶋尾 稔 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (90255589)
山形 眞理子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90409582)
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キーワード | 東洋史 / ベトナム / 歴史地理 / 権力拠点 / 空間構成 / 中世 / 近世 / 都城 |
研究概要 |
国内では、嶋尾と研究協力者の蓮田隆志が中部の地誌・地方文書の分析を進め、同じく研究協力者の森田健太郎が北部の昇竜城関係資料データベースの増補を続行した。後者の資料収集には新たに研究協力者として、豊田裕章(日文研共同研究員)が参加した。また連携研究者の仁木・京楽(日本担当)・吉開(南中国担当)は、それぞれの関連資料分析を進めた。他方、09年5月末のアジア世界史学会(AAWH、大阪で開催)の席上で、これまでの研究について紹介・討論するためにベトナムからグエン・ヴァン・キム(北部担当)、ドー・チュオン・ザン(中部担当)を招聘した。 ベトナムでの現地調査は、北部班・中部班ともに夏季に訪越して実施した。北部班では中世担当の桃木・蓮田・西野範子(研究協力者)が9月に、タンロン(昇竜)の研究についてハノイ国家大学の研究者と意見交換をしたほか、バクニン・バクザン・タイグエン各省の李朝期権力拠点に赴き、実地調査と資料収集をおこなった。バクニン省ディンバンを中心とする「李氏の本拠天徳府」の各種機能の広がり、バクザン省の首長申氏に関連する遺跡と見られるカウトゥー考古遺跡の規模などが確認でいた点が大きな収穫だった。近世担当の八尾と松尾は8月に、15世紀に設置された昇龍京外郭にある屯田所に関して実地調査を行い、多くの戦争捕虜などが陳朝時代(13世紀~)から都の防衛や生活物資生産のために移住させられ、居留区が都を囲繞するように形成されていたことを確認した。皇城内部にとどまらない昇竜京の機能の広がりは、来年度に建都1000年を迎えるタンロン=ハノイ研究を活性化させる論点となろう。いっぽう中部班では、山形が8月にトゥアティエンフエ、クアンナム、フーイエン各省を訪れ、林邑・チャンパー期の都城・寺院遺跡の調査のほか、近年出土した瓦の資料化などをおこなった。
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