研究課題/領域番号 |
20320112
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
奥村 哲 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (80144187)
|
研究分担者 |
石島 紀之 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (20106735)
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 教授 (10196149)
丸田 孝志 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (70299288)
田原 史起 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20308563)
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (20316681)
|
キーワード | 中国現代史 / 基層社会 / 国家の支配 / 構造的変動 / 総動員 |
研究概要 |
まず、本共同研究の中心である現地を中心とした史料収集については、昨年度は四川大地震と北京オリンピックという、中国への出張には不利な状況があったが、科研費に基づく以下の出張を行なっている。代表者の奥村は、8月にアメリカのスタンフォード大学フーバー研究所に行き、蒋介石日記から戦時動員に関わる史料を収集した。分担者の石島は、3月に上海市〓案館で上海の基層組織に関する〓案を収集した。笹川は9月に四川省成都の四川省〓案館で〓案史料を収集するとともに、四川大学・広島大学共催の国際シンポジウムに参加し、報告している。同シンポジウムには、丸田も参加し、報告した。山本も12月に、協力者の天野祐子も8月にそれぞれ四川省〓案館に出張し、〓案史料を収集している。これ以外にも、他の研究費で分担者の丸田・田原・鄭が出張し、それぞれ史料を収集している。//研究交流では、12月13日にメンバーの2冊の著作をもとに、慶応大学でワークショップ「戦時下農村社会の比較研究」を開催した。田原『二十世紀中国の革命と農村』は、現在にいたる100年間の農村基層社会の変遷をリーダーを軸に描き、笹川・奥村『銃後の中国社会』は、日中戦争期の大動員による基層社会の変化を描いたものである。田原著によって社会の長期的変遷過程(縦軸)を、笹川・奥村著によって日中戦争期という横軸を設定し、中国の異なる地域を研究対象とする人や日中戦争期を対象とする日本史研究者による、比較研究を目指したのである。三品英憲が田原著の全体に関してコメントし、荒武達朗(山東省)・蒲豊彦(広東省)・孫江(秘密結社)がそれぞれ専門の立場から報告し、日本史からは吉田裕(軍事)・森武麿(社会経済)が報告し、討論した。中国において地域的差異にも関わらず強い共通性もあることが確認できたとともに、日本との比較によって、戦時の大動員がもたらす社会変容の論理をより深い次元で捉えることができたと思う。現在、この成果を何らかの形で刊行するための準備作業をしている。この他の研究会では、6月7日に丸田が「抗日戦争期・内戦期における真魯豫区の中国共産党組織」を、10月4日に石島が「保甲制度から居民委員会へ-上海基層社会の転換」をそれぞれ報告し、討論している。さらに7月26日には、他研究会と共催で、徐躍(四川大学歴史文化学院)に「清末四川廟産興学進程中的〓伐廟樹」を報告してもらった。会場はいずれも慶応大学で、有意義な研究会であった。//研究発表については、後のリストの他に、金野純(協力者。今年度より分担者)が『中国社会と大衆動員』(御茶の水書房、総431頁、2009年)を刊行している。
|