中国の少数民族が90年代以降国境を越えて近隣諸国に移動し、そのエスニシティとネットワーキングが注目されている。特に、回族と朝鮮族はグローバリゼーションの中でそのエスニック・アイデンティティを強化する一方で、国家が推奨する中華民族アイデンティティをも保持している。本研究は彼らの複合したアイデンティティのありかたをさぐるために、近現代における回族と朝鮮族の「民族教育」史および思想に着目し、両者を比較検討し、その相違点と共通点を明らかにする。それによって北東アジアにおけるエスニック・マイノリティの「民族」形成のメカニズムを解明するとともに21世紀の動向を探ろうとするものである。
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