平成22年度に予定していたフランス人研究者の来日が、直前に生じた震災のため、中止になったことから、繰越し申請を行った。外国人研究者招聘計画を練り直した結果、元レンヌ大学教授ジャン=ピエール・ドリュモー教授を招聘して、以下のような研究会を開催した。 1。2011年11月19日、26日に、「中世イタリア王国における裁判」をテーマに研究会を開催した。研究拠点の九州大学に加えて、紛争解決研究の重要な研究拠点である京都大学でも開催した。前者においては、日本史の坂上康俊九州大学教授、および高橋一樹国立歴史民族博物館准教授の参加、後者においては、多くのイタリア史研究者の参加をそれぞれ得て、活発な研究交流が行われた。 2。2011年11月20日に、「日本、西欧、ビザンツにおける政治権力細分化」をテーマとして、比較史に関する研究会を開催した。ドリュモー教授の「秩序は失われたか」と題する報告に加えて、高橋一樹氏による日本中世史研究についてのコメントが行われるなど、本格的な研究交流の場となった。 以上の研究成果は、平成23年度末に刊行した『西欧中世文書の史料論的研究 平成23年度研究成果年次報告書』に掲載した。ドリュモー教授の2つの講演の全訳、高橋一樹准教授によるコメントに加えて、さらにイタリア中世史を専門とする城戸照子大分大学教授による「イタリア中世の裁判」に関する論考を掲載し、全体として今回のドリュモー教授招聘研究会の趣旨と成果を総覧できるようにした。
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