研究課題/領域番号 |
20320131
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 教授 (30196779)
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研究分担者 |
曽我 亨 弘前大学, 人文学部, 教授 (00263062)
大村 敬一 大阪大学, 言語文化研究科, 准教授 (40261250)
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キーワード | 在来知 / 動的把握 / 身体 / 関係性 / 変化 / 養蜂 / 型(パターン) / 個別性と汎用性 |
研究概要 |
研究計画の3年目となる本年度は、これまで得られた知見の統合と深化に向けた研究会と、基盤フィールドでの共同調査および個別フィールドでの調査を継続した。 第1回研究会は、青森県立郷土館小山隆秀研究主査が「近世剣術の伝承と実践」について、一橋大学春日直樹教授が「存在=行為:ANTを中心に」と題した講演に続き、「動き」を捉える実践的・理論的可能性についての検討討論を行った。基盤フィールドでは、数十年にわたり鹿児島から本州、北海道に渡る転飼養蜂の移動サイクルを作り上げてきた養蜂業者が、移動ルートの変更を余儀なくされるというできごとが生じたため、未経験の事態への調整を続ける転飼養蜂業者の観察・聞き取りが調査の中心となった。この結果、人のライフサイクルと空間的移動、対象との関係の調整などが検討課題となった。第2回研究会は、マダガスカル漁民の事例を手がかりとしながらブリコラージュ実践共同体論を展開してきた飯田卓国立民族学博物館准教授を講師として招き、在来知とイノベーション、「働き」から見る在来知の特徴的なありよう等について討論検討を進めた。その結果、分節化と連結、動くことによる対象との関係の安定化、対象に寄り添う関係調整等の特徴が抽出できた。個別フィールドにおいては、曽我が青森県弘前市の岩木川流域でウグイ猟の共同作業について、佐治が転飼養蜂業者の移動パターンについての調査を実施した。海外では、大村がカナダイヌイットの生業活動に伴う移動とその歴史に関する伝承等について、杉山がイギリス植民地時代の北ローデシアにおける農業政策とその対応に関する文献記録について、竹川がバヌアツ漁民のカヌー航行と漁業活動に関する在来知について、金子がエチオピアに住むアリの土器製作における技術(地縁技術)とマーケットを介した他の社会集団との交流などについての現地調査を行った。
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