本研究は、異文化共生という現代的課題に対して文化人類学の理論と方法を応用した政策提言を行うとともに、行政・NGO/NPO・大学の垣根を越えた政策立案のための公共フォーラムの構築を試みた。第一に、日本・韓国・台湾は共に外国人労働者の移入と国際結婚の増加にともなう異文化共生問題に直面しているが、韓国・台湾に比して、日本政府は多文化主義的移民政策に消極的であること、日本でも外国人労働者の集住地域では自治体を中心に多文化主義的施策が採られているが、東北地方のような外国人散在地域では自治体の施策も未整備であることが明らかとなった。第二に、こうした事態に対応するため、仙台市を中心に、東北大学文化人類学研究室と仙台市国際交流協会との間の学生インターンシップを含む協力関係を構築し、民間支援団体や当事者グループを含むネットワークを含む公共フォーラムの土台作りを行った。
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