本研究の期間を4年とし、その期間内に文化人類学的および歴史学的視点から日本を含む東アジア、東南アジア、南アジアを中心に活動している軍隊を、そのトランスナショナルな性格に注目して分析することを目的とする。国民によって組織される軍隊は、国民国家を構成する主要な組織である。兵士になることとは、ナショナリズムの理念を体現し、真の「国民」になることを意味する。軍隊・兵士と国家、国民、ナショナリズムは密接に結びついているのである。そのような国民、兵士・男性、国家という結びつきが垂直的なものとすると、複数の国家を横断する形で軍隊が水平的(トランスナショナル)に存在することもまた事実である。このことは、一般社会においても、学術的な点からも十分注目されてこなかった。本研究の目的は、この水平的な性格を明らかにすることである。
|