研究課題/領域番号 |
20330002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 信夫 京都大学, 法学研究科, 教授 (40004171)
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研究分担者 |
寺田 浩明 京都大学, 法学研究科, 教授 (60114568)
山本 克己 京都大学, 法学研究科, 教授 (20191398)
伊藤 孝夫 京都大学, 法学研究科, 教授 (50213046)
横山 美夏 京都大学, 法学研究科, 教授 (80200921)
佐久間 毅 京都大学, 法学研究科, 教授 (80215673)
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キーワード | 公証人 / 法曹 / 法曹養成 / 私的自治 / 法移植 |
研究概要 |
本研究は、わが国が法継受した大陸法諸国において、公証人が果たしている紛争予防機能を、歴史的・比較法的観点から研究することにより、わが国において公証人職を再定位しようとしたものである。本研究により、まず、歴史的には、公証人出現の経緯の1つは、既存法制度の機能不全であることが明らかになった。また、比較法的には、(1)大陸法諸国では、公正証書の作成が法律関係の有効な成立又は第三者対抗要件の前提として求められる場合がわが国と比較して多く、法律関係の形成における意思の重視と証書の要求とが密接な関係にあること、(2)法律関係の形成における公証人の関与の仕方は様々であり、スペインではわが国同様に証書の有効な作成に限定されるが、フランスでは契約の交渉段階から公証人が当事者に助言し、法律関係の内容形成を支援していること、(3)これは公証人が弁護士に類似の役割を担うものといえるが、フランスでは、弁護士が1人で契約の内容形成及び契約書の作成に関わるときには、依頼者だけでなく相手方の利益も顧慮しなければならないとするのが判例であり、法律専門職の職域が流動化しているとともに、法律専門職の書面作成への関与による契約内容の適正化の担保が実質化されていることなど(横山美夏・後掲研究業績参照)、書面の作成・保存を専門とする公証人のあり方を他の法律専門職との関係において捉え直すことで、法律関係形成の場面における書面制度の上記問題性が浮き彫りになった。 さらに、上記(2)の現代的多様性との関係で、歴史的には、古代末期ローマ社会において上記(2)のスペインにおける公証人と同様の活動が史料に現れ、特に担保権の実行において執行力もあったと理解され得る史料がみられるが、後者につきさらなる検討を要する。
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