研究課題/領域番号 |
20330006
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
樹神 成 三重大学, 人文学部, 教授 (20186703)
|
研究分担者 |
市橋 克哉 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40159843)
白藤 博行 専修大学, 法学部, 教授 (90187542)
本多 滝夫 龍谷大学, 法科大学院, 教授 (50209326)
徳田 博人 琉球大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50242798)
宇田川 幸則 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (80298835)
|
キーワード | 法整備支援 / 行政手続法 / 比較法 / ヨーロッパ評議会 / 行政法 / ヨーロッパ人権裁判所 |
研究概要 |
今年度の成果は、大きくは、1.アメリカの中国行政法整備支援と中国の地方での行政手続法等整備。2.ヨーロッパ評議会における行政法の標準設定と比較行政法の動向の調査の二点である。 90年代に、Ford Foundationは中国の行政処罰法等の制定においてシンポジウムを開く等の支援を行ってきた。現在のアメリカの行政法整備支援は、行政訴訟(judicial Review)ではなく、規則制定手続(Rule Making)をふくむ、行政手続および情報公開について支援を地方で行っている。それら実務について公務員をはじめ関係者に短期の研修の機会を与え(China Law Center at Yale University等)、アメリカでそれらの実務がどのように行われているか伝えることで、中国の公務員の質を高めることを狙っていることも注目に値する。こうした地方のうごきのなかで、湖南省の行政手続条例がとくに注目に値する。この条例は、省の幹部公務員が制定に強いく意欲をもち、その内容も、行政が、内部事項も含め、その活動を自己拘束するためという性格を持っている。権威主義的なレジームのもとでの行政手続法のあり方として注目できよう。 ヨーロッパ評議会では、いくつかの法分野での標準設定(Standard Setting)が行われている。これは、この科研の研究の狙いである発信型行政法を考えるうえでも興味深い取り組みである。行政法の標準設定そのものの取り組みは現在中断しているが、実際の参加者(アイルランドとスイス)も出席してのヒヤリングから、ヨーロッパ評議会のレベルでの会議での議論がどのようにヨーロッパ評議会の勧告となっていくか理解できた。アイルランド(コモンロー)の参加者によれば、大陸法とコモンローの違いにもかかわらず、このようの標準設定の会議は非常に有益である。また、ヨーロッパ評議会およびヨーロッパ人権裁判所では勧告という言わばソフトローが活用されていることも印象的であった。以上のことから、法整備支援の経験を、こうした標準設定の視点から見て、「各国での共有の原則と各国での異なる制度」という視点を得た。
|