研究課題/領域番号 |
20330025
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大串 和雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90211101)
|
研究分担者 |
木村 正俊 法政大学, 法学部, 教授 (70308097)
千葉 眞 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10171943)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
根本 敬 上智大学, 外国語学部, 教授 (90228289)
武内 進一 日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究グループ長 (60450459)
|
キーワード | 政治学 / 暴力 / 人権 / 比較政治 / 民族紛争 / ジェノサイド |
研究概要 |
平成20年度は、3ヵ年計画の初年度として、ゲスト研究者を交えた2回の合宿における報告と討論を中心に研究活動を行なった。1回目の合宿は主としてブレーン・ストーミング、2回目の合宿は主としてメンバーの研究の中間報告が目的であった。研究の中間報告では、千葉がポスト冷戦の時代における政治的暴力をいかに捉えるか、特にグローバリゼーションとの関連をどう捉えるべきかという大きな問題を追究する一方、他のメンバーは各地域における政治的暴力の具体的な表われを検討した。具体的には、木村は主権国家を超える領域を単位とするアラブ・ナショナリズムと主権国家の論理との絡み合いを中東の紛争の歴史の中に描き出し、狐崎はグアテマラにおける政治的暴力の歴史と和平協定後の現状を、最近の多くの研究や社会運動理論を手がかりにして分析した。武内は、現代アフリカの紛争において民兵の比重が大きいという点に着目し、民兵の類型を整理するとともに、民兵が頻繁に利用される理由を考察した。根本は、ビルマの軍事政権の特質や国際社会の対ビルマ姿勢を考察するとともに、亡命している反体制派の反軍政闘争とアウンサンスーチーの非暴力思想との関連についてタイにおける現地調査の構想を発表した(現地調査は3月に実行された)。月村は、旧ユーゴ内戦の「民族浄化」の実態を包括的に検討した。本名は、スハルト後のインドネシァにおける各軍や警察が自らも暴力や犯罪に関与しながら、国際社会の治安部門改革というアジェンダを利用して自組織の権益拡大を図る様子を描き出した。大串は、ペルーにおける人権に関わるディスコースの実例を収集し、分析を進めた。本研究会の昨年度の知見の一つは、現代世界における政治的暴力の原因や力学は多様であり、したがって、たとえばグローバリゼーションとの関係なども-つのステートメントで表現するのは困難であるということであった。
|