研究課題/領域番号 |
20330025
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大串 和雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90211101)
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研究分担者 |
千葉 眞 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10171943)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
月村 太郎 同志社大学, 政策学部, 教授 (70163780)
根本 敬 上智大学, 外国語学部, 教授 (90228289)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
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キーワード | 政治学 / 暴力 / 人権 / 比較政治 / 発展途上国 / 民族紛争 / テロリズム / 民兵 |
研究概要 |
平成21年度は、日本政治学会機関誌『年報政治学』の特集論文を執筆することを中心に活動を行なった。前年度の研究会報告におけるコメントを踏まえて完成させた原稿をあらかじめ回覧し、合宿で相互に批判することによってさらに論文の完成度を高めた。千葉は、グローバル化時代の多種多様な暴力の発現を考察し、ホッブス、アーレントなどの政治理論を手がかりとして非暴力的な政治の復権への道を探った。月村は、主としてボスニア内戦を例に取りながら、旧ユーゴ紛争で広く流布した民族浄化の概念を整理するとともに、民族浄化実行者の動機、民族浄化に至る集団的感情の動き、民族浄化の遺産克服の困難性などについて考察を加えた。木村はパレスチナ解放闘争の歴史を、一方におけるアラブ・ナショナリズムや反帝国主義イデオロギーと、他方におけるアラブ諸国政府およびパレスチナ解放勢力の個別利害との相克を軸に考察した。本名は、インドネシアにおける犯罪対策と治安セクター改革をめぐる政治を考察し、陸軍が国際的アジェンダを利用して組織利益を増進していった過程を明らかにした。狐崎は、20世紀後半のグアテマラにおける政治的暴力のエスカレーションと、内戦後の真相究明・国家補償をめぐる政治を分析するとともに、内戦後に犯罪が急増し、そこに元軍人・警察官、元ゲリラ、元先住民自警団幹部などが関わっていることを指摘した。武内は民兵の概念を整理するとともに、アフリカ諸国の政府が民兵を利用する近年の原因を、ポストコロニアル家産制国家の解体に見出した。根本は、タイに逃れて民主化運動を展開するビルマ人活動家がアウンサンスーチーの思想をどのように理解し、民主化運動における暴力・非暴力の問題をどう考えているのかについて、タイにおけるインタビューに基づいて分析した。大串は、研究会全体を統括するとともに、ペルーの人権をめぐる政治過程の分析を進めた。
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