研究課題/領域番号 |
20330026
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯田 文雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70184356)
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研究分担者 |
辻 康夫 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50346277)
月村 太郎 同志社大学, 政策学部, 教授 (70163780)
網谷 龍介 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40251433)
津田 由美子 猫協大学, 法学部, 教授 (30247184)
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キーワード | 多文化主義 / 思想史 / ロールズ / ナスバウム / 共生社会 / 少子高齢化 / キムリッカ / 比較政治 |
研究概要 |
本研究は、多文化共生社会の政策過程に関して、2000年代以降生じた変化を解明することを目指すものであり、本年度は特に人権政策の分野をとりあげ、そこにおける近年の政策変容と文化的少数派の関係に関する研究を行なった。(1)そのため本研究ではまず、2000年代以降の人権政策過程の変容に関して、ナスバウム以下の先行諸研究を幅広く収集し、その特色や問題点を研究参加者全員で批判的に検討した。その結果、1)従来の多文化共生社会に関する先行研究の中で展開された、人権政策を巡る議論の大半は、女性等文化内部の少数派が少数派文化の保守的慣行によって抑圧を受ける場合の考察が占めること、2)他方、少数派の社会進出を推進する参政権の研究は遅れていること、等の重要な知見が得られた。(2)更に本研究では、(1)の議論を踏まえて、北米・西欧・東欧諸国における2000年代以降の人権政策過程において、文化的少数派の取り扱いがどのように変化してきたかに関して比較研究を行った。その結果、本研究では、1)文科内部の少数派擁護のための人権政策に対しては世界各国で比較的広範な合意が成立しつつあり、国連やEUなどの国際機構によってそうした合意が普遍的に共有されつつあること、2)政治参加の権利に関しては地域や政治参加の具体形態毎に大きな偏差が存在すること、等の重要な知見を得た。(3)更に本研究では、こうした外国での知見を日本社会に応用する目的から、アイヌ民族を中心とした日本の少数派文化研究に関する知見の批判的検討を継続した。
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